ケニアの日本人オーナークラブでは、
2018年シーズン開幕に向けたクラブミーティングを実施しました。
ケニア人選手たちとの会議、
そして、そこで起こった彼らのケニア人らしからぬ行動とは…。
クラブミーティングの開催
クラブミーティングの様子
クラブは、設立1年目にして、ケニア5部から4部リーグへの昇格が決定しています。
そしてまもなく、ケニア4部リーグが開幕します。
リーグ開幕に先立ち、全体ミーティングを実施しました。
総勢40人の選手とスタッフが一同に集まりました。
これがサッカークラブのミーティング??
私たちのクラブは、いつも挑戦的でありたいと考えています。
そして、
たとえミーティングであっても、普通のクラブとは一味違う内容になっています。
もちろん、
クラブの方針や目標、戦略、選手登録、写真撮影など、通常のクラブと同じような内容も含まれるのですが、
その先が、少し他とは違うんです。
サッカーの話をしない
日本人クラブ代表(右)と日本人監督(左)
ミーティング中の選手たちの様子
ケニアのサッカークラブでは、
スポーツを通したアフリカ・ケニアへの国際支援をひとつの軸にしています。
そのため、選手には、ただサッカーの上達を伝えるのでは不十分であると考えています。
時々「スポーツを通した教育」などの言葉を耳にすることもありますが、
スポーツはスポーツであり、
ただサッカーをやっているだけで人間性が身につくのかといえば、そうではない面が多々あります。
実際に発展途上国では、
スポーツに熱心に打ち込みながらも、裏で悪いことをしている人たちも少なくありません。
そこで、
ケニアのサッカークラブでは、サッカー指導だけでなく、
選手たちの意識に訴えかけるという、一見して途方もない試みを行っています。
クラブミーティングも例外ではなく、
町づくりへの参加、地域にどう貢献していくのか、その具体的なプラン、なぜ他者に尽くすことが必要であるのかなどを話し、
それが後でどのようにクラブに返ってくるのかを伝えるのです。
もちろん、話をしただけですべての選手の意識が変わる訳ではありません。
これらの内容はすべて、
他者貢献の「見える化」をすすめるための準備であり、
クラブが実際に貢献活動を行ったときに、
「あぁ、言われていたのは、このことだったのか!」
と、納得ができるための基礎をつくっておき、
それらがすべて、実体験を通した意識の芽生えに繋がっていくのです。
ミーティングでは、サッカーそのものの話はほとんどしませんでした。
はるかに多くの時間を、このような内容のために割いているのです。
町をより良くしよう!
最終的には、
「このクラブを通して、町をより良くしていこう!」
という話に行き着きました。
日本では、
「地域密着型クラブ」「地域貢献」といった言葉が、サッカー界においても出てきますが、
ケニアリーグにおいて、
会議でサッカーの話をせず、他者への感謝と貢献を話し合い、
町全体のことを考えようというクラブは、圧倒的な少数派です。
しかし、
こういった意識改革によって、
結局はサッカーの技術や成績が向上していくであろうことは、容易に想像できるのではないでしょうか。
ミーティングで起こった事とは・・・
会議は3時間近くに及びました。
準備や写真撮影、アンケートの記入などなどを含めると4時間以上。
これだけ聞いて、
ケニアを少しでも知っておられる方ならピンと来るかもしれません。
「ケニア人が3時間も集中して話を聞ける訳がない!」
ということなんです…笑
通常、40人近くものケニア人が、
黙って、集中して、会議に参加するということは容易ではありません。
では、うちの選手たちはどうでしょう。
選手たちの様子
真剣な眼差しの選手たち
ミーティングの様子
どうですか、
この真剣な眼差し!笑
カメラを向けられて表情を作っているという部分もあるかもしれませんが、
基本的には、みんなが終始このような状況で「うんうん」と頷きながら話を聞いていおり、
もはや、奇跡!
と言っても過言ではありません。
ミーティングが形式的なものであったり、
ありきたりな内容の話あれば、こうはならなかったでしょう。
選手の中には、
仕事もしながらプレーしている選手や、まだ学生の子もいて、
普段の練習でこれだけの選手が揃うことはまずありません。
そのような中、この日は、
みんなが時間を作り、同じ場所に集まって、全体ミーティングを開催することが出来ました。
ミーティングの前後を含め、すでに数々のプロジェクトがスタートしています。
その様子は、また改めてご報告させていただきます。